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睡眠不足による幻覚・幻聴

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人間は眠らなければどうなるのか?

仕事やプライペートが多忙になると、「永遠に眠らなくてもやっていけたら、好都合なのになあ」と感じることがあります。では、人間はいつまでも眠らなければ、いったい、どうなってしまうのでしょうか。このことを、身をもって教えてくれたのが、WMGMというアメリカのラジオ局で人気DJだったピーター・トリップさんです。

彼は1959年に、何と200時間以上にわたって、一切、眠ることなく起き続けたことが確認されています。正確にいえば、8日と9時間という途方もない記録です。

このように、睡眠を断って起き続けることを「断眠」と言います。世界中の様々な国で断眠への挑戦が行なわれていますが、実をいうと、こうした断眠記録のなかには、結構、眉唾ものも少なくありません。実際には、隠れてこっそりと眠っていたなどというケースもあるのです。

たとえば、少年時代に事故にあってから、まったく眠らなくなったという米国人の男性がテレビなどで盛んに取り上げられたことがありました。もし事実であれば、驚愕すべき事例です。ところが、本当のところは、少なくとも一睡もしていないというのはウソたったようです。彼が居眠りをしているところを目撃したという指摘が、多数、寄せられたからです。

ところが、ピーター・トリップさんの場合は、正真正銘、眠っていなかったのは確かです。なぜなら、彼の場合は、衆人環視の状態で断眠に挑戦したからです。

彼は、ニューヨークのど真ん中に群集が見物できるガラス張りの臨時ラジオブースをつくり、そこで休むことなくしゃべり続けました。小児麻庫患者の救済募金のため、断眠DJに挑戦したのです。ラジオブースの前の群集が、彼が断眠を続けた生き証人です。これなら、彼の断眠記録は信頼してもよさそうです。

断眠し続けると幻覚や妄想が現れる……

初めは快調に話し続けていたピーター・トリップさんも、断眠が続くに従って言動は次第に異常なものとなりました。やがて精神が害され、最後には幻覚や妄想が現れたといいます。

もちろん、人体に危険な挑戦だということで、常に医師が見守っていました。しかし、ピーター・トリップさんは、こともあろうに医者が自分を葬ろうとする葬儀屋だとカン違いしたそうです。医師が健康状態をチェックしようと近づくと恐れおののいて逃げ回ったといいます。また、「レコードの上に虫が這っている」「時計が人間の顔をして自分を見つめている」など異常な発言をすることもあったと伝えられています。

どうやらトリップさんは、極度の睡眠不足のために精神的にもトリップしてしまったようです。ダジヤレはさておき、睡眠をとらないということがいかに恐ろしいことなのか、改めて教えてくれたエピソードだと言えます。

264時間断眠した少年

ちなみに、1964年には当時、ト七歳たったランディ・ガードナー少年がクリスマス休暇に断眠に挑戦し、264時間12分、起き続け、ピーター・トリップさんの記録を塗り替えています。このケースも医師や科学者が常に観察し続けていたため、こっそり眠ったということはありません。

彼の場合は、ウィリアムーデメント医師が脳機能を詳しく観察しました。断眠を始めてから三日目より、記憶力が大幅に低下し、極度のイライラ感が現れたといいます。また、子供でもできるような簡単な計算もできなくなったそうです。

いずれのケースも、人間の脳が正常に機能し続けるには、睡眠がなくてはならないものであることを、生きた実例として教えてくれています。これほど極端な断眠ではないにしても、睡眠不足は脳機能に関する異常状態の予備軍だと考えてください。

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