光の刺激や朝食、それに他人とのふれあいなど同調因子を上手く活用すれば、睡眠覚醒のリズムばかりでなく、体温のリズムも整えることができます。体温は、いわば「全身の代謝のバロメーター」です。病気でない限り、体温が高いというのは体内で代謝が活発に行なわれている証拠です。一方、最近、問題になっている低体温の状態では、代謝は充分に行なわれていないと考えるべきです。
ただし、ここでいう体温とは、皮膚に近い部分の温度を意味する体表温のことではないので、注意してください。一日のリズムを刻むのは、身体の奥深い部分の温度を意味する 深部体温のほうです。深部体温とは、正確には心臓や大動脈を流れる血液の温度なのですが、実際には直腸の温度として測定されることが多いので、直腸温と同じと考えていただいて結構です。
この深部体温は、健康であれば、毎日、一定のリズムを刻みます。一般には起床後、身体の活動を反映して、体温も緩やかに上昇を続けます。そして夜になると、逆に体温は下降し始め、これも刺激になって眠りにつくのです。こうして昼の活動と夜の休息のメリハリを、体温も一緒になって生み出しているわけです。
ところが、午前中、ボーっとして頭がよく働かない『寝ボケ脳』に陥っているときは、多くの場合、体温も上手く上昇できていません。『寝ボケ脳』は、その名の通り、体温についても、半分、眠っているような状態にあるのです。『寝ボケ脳』を退治するには、午前中にしっかりと深部体温を上げることが必要です。
さらに、日中に充分に体温を上げておけば、夜、寝つきがよくなるというオマケまでついてきます。脳は体温が低下すると眠気を感じます。注意してほしいのは、体温が低いという温度自体が原因で眠くなるのではなく、低下するという温度変化で眠くなるということです。ですから、日中に体温を充分に高くしておかないと、夜に充分な低下が起こらないため、寝つきは悪くなるわけです。
ちなみに、のちほど詳しく説明しますが、入浴によって入眠しやすくなるのは、お風呂に入ると、いったん擬似的に深部体温を上げ、その後、体温を確実に下げることができるためです。
このように、一日の体温リズムは睡眠覚醍のリズムと表裏一体です。睡眠リズムをしっかりと身につければ、適切な体温リズムも身につきます。その一方で、理想的な体温リズムを保てば、よい睡眠リズムも手に入れられるというわけです。